3つあった伏見城

 近年発見された伏見城を中心にすえた洛中洛外図屏風。石垣の構造からすると第二期の伏見城のように見受けられます。
伏見城はあまり知られていませんが、3つありました。
1.現在の伏見桃山御陵の麓にあった伏見指月城
2.伏見大地震で破損した後、再建・移築された伏見木幡山城(豊臣時代と徳川時代)
3.現在、伏見桃山城として再建された第三期
 こちらは第一期伏見指月城。伏見大地震で倒壊しました。大阪キー局のABCが「天下人秀吉が恐れた地震」特集で伏見城の映像復元をしていました。木戸プロデューサーの力作です。
 大和国比曾寺から移転した三重塔と伏見城天守。もともと城郭楼閣建築自体が寺院建築の影響を受けていますからこうして並べると違和感はありません。防御施設というより宮殿建築としてですが。天守閣は上部が破損しましたがこの三重塔は無事だったようで今では滋賀県の園城寺に残っています。
 伏見指月城夜景。宇治は観月の名所でこの伏見はまさに景勝の地でした。
 直江兼続が掘削したというお舟入。大坂から淀川、宇治川をさかのぼりこの御舟入りから伏見城の威容を眺めて入場させるという算段でした。
 宇治の観月橋。平安時代からの名所でもありました。この橋が源平時代にあれば以仁王も源頼政も藤原信西も奈良南都まで逃げることが出来たかもしれません。
 伏見指月城本丸。千畳敷御殿もそなわった本丸。
 これは第二期伏見城のひながた。逓減バランス面で日本城郭屈指の姿です。故藤岡通夫教授設計によるもの。
 NHK大河ドラマで再現された伏見城。御舟入も学問所も比曾寺三重塔も全てしっかり描写されています。位置関係からすると第一期の指月城の方でしょうか。
 こちらは伏見大地震(おおなまず)の後再建された木幡山の第二期伏見城

 伏見城大手門遺構の御香宮神社。酒蔵のメッカでもある伏見城ですがこの神社からは素晴らしい水が湧き出ているとか。

 本丸累上にあった天守閣。大坂城天守閣と発想は類似しています。

桃山時代にタイムスリップしたら恐らくこんな感じだったのでしょうか。。。
石落しは余計ですが素晴らしいスタイルです。
このような逓減の素晴らしい木造建造物は当時のアジアはもちろん世界のどこを探しても無かったと思われます。
日本は古代寺院の七重塔、五重塔から始まって近世城郭の高層楼閣に至るまでタワー(塔)の国だったと云えましょう。

コメント